伊藤潤二傑作集 8 うめく排水管
|ジャンル | ホラー |
作者 | 伊藤潤二 |
連載 | 月刊サスペリア |
巻数 | 短編集につき不定 |
『伊藤潤二傑作集 8 うめく排水管』は伊藤潤二によるホラーマンガである。
短編集であり、「超自然転校生」「うめく配水管」等の読み切り作品が8作収録されている。
ホラー作品には怨念によるものだったり理論的な内容であったりする場合が多いが、ジャンルで表現するなら伊藤潤二氏の作品は「意味不明シュール系」であろうか。
とにかく彼の描く発想と世界観が読者の理解をはるかに超えたもので、ただただ怖さに圧倒される。
それでいてどことなくシュールで、ホラー作品なのに読んでいるとジワジワとユーモアを感じるのである。
例えば本書には「首吊り気球」という、ファンの間では有名な作品がある。
人の首で出来た気球が登場し次々に生きている人間を襲うという物語なのだが、そのきっかけがまったくわからない設定と、なんだかよくわからない怖さと、笑ってしまうシーンとが混ざり合って、文章では表現しきれない面白さなのだ。
おそらくただ怖いだけではホラー作品好きには支持されなかっただろうと思う。急に出てくるシュールな場面は、怖さと同じくらいに魅力的なのだろう。
ゾンビものや幽霊ものとは違った怖さを求める方にオススメの一冊である。